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教育コラム8_“心をつなぐ”ふれあいを!

こんにちは。
関西創価小学校 参事の三島千晃です。

青い空に広がる真っ白な入道雲、木々の間に響く蝉の声。
夏はやっぱり子どもたちの季節ですね。

夏空と入道雲

◆しつけとは何か?

さて、親御さんとの懇談の中で、よく質問されるのが、子どもの「しつけ」です。
「しつけって必要ですか?」
「古くありませんか?」
「どうやってしつけをしていけばいいですか?」
など、内容はさまざまです。
そこで、今回は「しつけ」について考えてみたいと思います。
 



昔から日本で「しつけ」は「躾」と書いてきました。
日本人が作った「和字」です。
文字通り「美しい身」。つまり「美しい言動(ふるまい)」がしつけの本来の意味です。

◆しつけの2つの柱

しつけで私が心に残っているのは、兵庫教育大学の学長・名誉教授であった上寺久雄氏のしつけの「2つの柱」の話です。
上寺氏の話をもとに、考えていきましょう。
 
1つ目の柱は「行動秩序の基本」です。
分かりやすく言えばエチケットです。
「履物はこうそろえるんだよ」
「返事はハイとしようね」
「朝のあいさつは元気に・・・・・・」
など、人間として生きる基本の行動を教えていきます。
狭い意味で、これをしつけと呼んでいます。
礼儀作法といってもよいでしょう。

2つ目の柱は、「人間として生きる姿勢」としてのモラルです。
人とどのように接するか、お互いが快く生きるためにはどうあるべきか、人の心を傷つけないようにするには、どうしたらよいか・・・・・・。
こうしたしつけは、前者のしつけより、もっと幅広い、底の深い、言うなれば「人間としての姿勢・在り方」です。
人間だけがもつ大切な心構え、行動の在り方でもあります。

◆しつけは必要?

「今の時代に“躾”なんて古くさい」と反発する人もいるかも知れませんが、人間社会で生きていく上で、エチケットやモラルはとても大切な要素です。
 
さらに、角度を変えて言えば、1つ目の柱が「人間としての知識」の問題だとすれば、2つ目の柱は「人間としての知恵」の問題だと言えます。
幸せな人生とは、知識と知恵を生かしながら生きることではないでしょうか。

なかよし校内たんけん

◆親としての取り組み

ではしつけを、子どもにどのようなかかわりで身につけさせ、心にしみこませていけばよいか考えていきたいと思います。
 
1つ目の柱であるしつけ(エチケット)は、日常生活の中で、親のすることを「こうするのよ」とまねさせることから始め、その都度よくできたらほめてあげることで身についていきます。
日頃の親の接し方、声のかけ方、振る舞い方が大事です。
 
2つ目の柱であるしつけは、モラルですから、直接、人と接した後で、「あのようなときは、こうするとみんな気持ちよく感じられると思うけど、あなたはどう思う?」と、ともに考え、教えていくことが大切です。そして、小さいときからとるべき行動を話してあげることです。
 
例えば、寝物語をするときに、また絵本を読んだり、話をしたりするときに、子どもの心に触れるように話してあげればよいのです。
教訓的に押し付けるのではなく、楽しい話や悲しい話を数多く話してあげながら、子どもの「人間としての心」を育むのです。

新入生歓迎の集い

◆池田先生のしつけに対するお考え

しつけについて、創立者池田先生は、関西校(創価女子中学・高等学校)の第1回入学式で次のようにスピーチされました。

「生活が闊達に、円滑に、楽しく回転するためには、そこに一定のリズムがあります。このリズムを体得することを躾と申し上げたいのであります。
(中略)
躾は理屈で理解させて、のみこませるいうのではなく、まず、行動を実行することから自然に慣れて、頭ではなく、体全体で体得していく教育法の一種とも申せましょう」

(強調・下線は筆者)

このようにしつけは、子どもがよりよい生活を送るためのリズムを体得させる大切な役割を担っているとも言えます。

最後にしつけで、気をつけたいことを記しておきましょう。
 

◆しつけは、順序が大切!

1点目は「順序」ということです。
教育は、愛情期・しつけ期・自立期の3期に分かれると言われています。
明確な境界線があるわけではありませんが、ここで、押さえておきたいのが、愛情 ⇨しつけという順番です。愛情に包まれた「信頼の世界」があってこそ、はじめてしつけが入るのです。
最初からしつけに入ろうとすると安定しません。愛情という土台の上に、しっかりとしつけをのせていくという感覚です。子どもが「自分は100%愛されている」という安心感を大切にしたいと思います。

◆やさしく・ゆるやかに・根気よく!

2点目は、しつけは、「やさしく・ゆるやかに・根気よく」ということです。
「しつけ」という言葉は、もともと和裁の言葉です。美しく縫い上げるための予備工作として、重ねた布が動かないように、あらかじめ、仮に弱い糸(しつけ糸)で縫うことから由来します。
いい子にしようと思うあまり、強い糸で子どもの個性を強く縫いつける必要はありません。
しつけ糸のように「やさしく、ゆるやかに、根気よく」をイメージして行っていきましょう。

◆しつけスタイルは共有型で!

3点目は、「しつけスタイルは共有型で」ということです。お茶の水女子大学名誉教授・IPU環太平洋大学教授の内田伸子氏は、「強制型しつけ」(大人の力で子どもをコントロールした方がよいとするしつけ方)よりも、「共有型しつけ」(親子の触れ合いを大切に、子どもと楽しい経験を共有するしつけ)の大切さを主張されています。
一方的な押し付けにならないよう、子どもとのコミュニケーションを楽しみながら行っていくことが大事なのです。
 
暑い夏、親子で“心をつなぐ”ふれあいを大切にしながら、思い出いっぱいの夏休みにしていってくださいね。

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