教育コラム#6_たけのこ名人の言葉
こんにちは。
関西創価小学校 参事の三島千晃です。
青々とした新緑に爽やかな風が吹き抜け、希望の学び舎に元気な子どもたちの声が今日も響き渡っています。
入学したばかりの1年生が心待ちにしている行事があります。
毎年4月下旬から5月上旬に行われる “たけのこほり”です。
この行事は、創立者が命名された「平和竹林」で行うもので、今年度もたくさんのたけのこを掘って給食で美味しくいただきました。
◆たけのこほりの2つの楽しみ
1年生がたけのこほりを楽しみにしているのには、2つの理由が考えられます。
1つ目は、“たけのこを掘る”という珍しい貴重な体験ができること、
2つ目は、上級生のお兄さんお姉さんと一緒に体験できることです。
本校には、「きょうだい活動」と呼ばれる学習活動があります。
これは、本学園の合言葉を日常の教育活動に展開したものです。
たけのこほり当日は、4年生が1年生に付き添います。5年生は1年生にさつまいもの苗の植え付けやほり方を教えます。6年生は「きょうだい学年」としてペアをつくり、様々な活動をします。
2・3年生もそれぞれ「きょうだい活動」があり、すべての学年が1年生に関わりを持つことになります。
縦と横のつながりが織りなす“美しい友情という織物”、それが本校の特色のひとつです。
◆「すくすくたけのこ」に込めた思い
本コラムは「すくすくたけのこ」という題名です。
本校は「桜と竹の学校」とも謳われています。
校歌には、桜と竹がモチーフとして登場。2番の歌詞は「たけのこ すくすく」とはじまります。「若竹のようにすくすくと伸びゆく子どもに」という思いは、親のみならず、私たち教員も含めたすべての大人の願いといってもよいでしょう。
◆「たけのこ名人」の言葉
創立者・池田先生は、学園生に対して様々なメッセージを贈ってくださいましたが、実は「竹」を題材にしたお話も数多くされています。
『新・人間革命』第27巻「若芽」の章では、創価小学校ではじめて行われた運動会の様子が描かれています。閉会式のスピーチで「筍(たけのこ)を育てる名人」についてお話されました。
人はとかく目に見える成果に目を奪われがちですが、筍の話を通し、目に見えない根っこをはる時期、とりわけ小学校時代における人格形成の大切さを教えてくださいました。
「平和竹林」でたけのこほりを経験し巣立っていった卒業生も、4500名を超えました。なんと一期生は50歳を超えています。
外交官や弁護士、国際的な学者やスポーツ選手、国会議員、教員、俳優など様々な場所で活躍しています。私たちは、「教育の成果は、卒業生で決まる」という言葉を胸に、これからも力強く前進していきたいと決意しています。
◆建物は2階からは作れない
大工になったある卒業生は、「建物は2階からは作れない」と基礎・土台の大切さを家づくりに例えながら、小学校の頃を感慨深げに語ってくれました。
人格形成の基礎・土台をつくるときが小学校時代です。
「勉強は楽しい」「失敗しても大丈夫」、「挑戦することが大事」「チャレンジしてこそ人は賢くなる」「人は協力することができる」など、経験を通して得たすべてがたくましい若竹に育つための根っことなります。
「一人のこどもを育てるには一つの村がいる」。子育てに関するアフリカのことわざで、子どもを育てていくにはそれだけたくさんの大人が必要となることを教えてくれています。
若竹のようにすくすくと伸びゆく子どもを育てるためには、多くの善き人との関わりが大切です。人は人によって育ちます。大地に逞しく根っこをはり、天空に向かって青々と真っすぐに伸びる「平和竹林」の竹は、私たちにいつもそうした子育てのメッセージを贈ってくれているのです。