教育コラム#3_“トライアンドエラー”のすすめ
こんにちは。
関西創価小学校 参事の三島千晃です。
◆『失敗図鑑』って何?
図書館で面白い本を見つけました。その名も『失敗図鑑』。
この本には、240人の偉人といきもの・発明品にまつわる失敗が320個も載っています。「大人が読んでも勇気がもらえる」と大反響の本です。
伝記において偉人たちは、「英雄」や「成功者」として紹介されていますが、その人たちもずっと成功してきたわけではありません。今に名を残すスゴイ人もたくさんの失敗をしてきました。
だから「失敗しないと人生損だよ! 」くらいの気持ちでどんどん新しいことにチャレンジしてほしいーー。そんなメッセージが込められた「勇気の書」です。
◆試行錯誤には「目的」が大事!
「失敗」と聞くと、私は「試行錯誤」という言葉を思い浮かべます。文献学者で作家の山口 謠司(ようじ )さんは、試行錯誤についてこんなことを書いています。
「『試行錯誤』という四字熟語は、戦後日本で作られた言葉です。『試行』とは、『試みに行うこと』、『試しにやってみること』を表します。『錯誤』とは、『誤り』『間違い』という意味の他に、『自分が考えていることと事実が一致しない』という意味もあります」とーー。
挑戦と挫折を繰り返しながら成功へと近づいていくという意味合いですが、大切なのは、何のために試行を繰り返すのかという「目的」だと思うのです。
◆プログラミングロボットって面白い
関西創価小には、学年ごとに年10時間程度の「情報」の授業があります。その時間では、iPadやChromebookを使って学習したり、プログラミング的思考を学んだりしています。
中でも、子どもたちが目を輝かせて取り組むのが、プログラミングロボットを使った学習です。低学年の1・2年生が使うのは「TrueTrue(トゥルートゥルー)」と言う手のひらサイズの小型ロボットです。
パソコンがなくてもカードの指示をロボットに読み込ませてプログラミングができます。子どもたちは、「前に進め」「右に曲がれ」などの指示が書かれたカードを並べて、プログラムを作り、ロボットの口(くち)にカードを差し込んでロボットを動かします。
ロボットが指示通りに動かなかった場合は、プログラミング(試行)にエラー(錯誤)があったことになります。そんな場面で、子どもたちは「ここが間違っているのではないか?」、「このようにすればどうだろうか?」と自分たちのプログラミングを振り返り修正しています。
このような活動を通し、児童たちは、ゴールに到着するという“目的”を達成するために、「トライアンドエラー(試行錯誤)」が必要だと学んでいるのだと思います。
◆次に進むためのアレが見つかればOK
今の世の中には、どこか失敗を許さない雰囲気が漂っているように感じます。しかし、振り返ってみると、私たち大人も失敗しながらここまで生きてきたのではなかったでしょうか。
トライアンドエラー(試行錯誤)」が必ず成功に至るわけではありませんが、「あ!さっきよりちょっと上手くできた」という小さいな一歩を繰り返すことで私たちは進んでいるのですから、次に進むためのアレが見つかっただけでOKです。私たち大人は、子どもの失敗を大らかに受け止められる”心”を持ちたいと思うのです。
また、大人から見ると小さく思える出来事も、子どもにとってはものすごく大きな出来事です。「大人だって完璧じゃないよ」、「親だって失敗もするよ」と我々の恥ずかしい失敗談を語ってあげることが、子どもにとっては学びとなり成長エネルギーになります。
寒さの中にも確実に春の準備をしているこの季節、親も子どもと共に、トライアンドエラーを繰り返しながら、成長を積み重ねる輝きの日々を過ごしていきましょう♪
最後に、先に紹介した『失敗図鑑』に載せられていている名言を紹介し、今回のコラムの結びとしたいと思います。
◆失敗と書いて、成長と読む。
(野球選手 野村克也)
◆失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだといいたまえ。
(発明家・技術者 エジソン)
◆下を向いていたら、虹を見つけることはできないよ。
(映画俳優・監督 チャップリン)