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教育コラム#13_“素直な気持ち”を伝えられる子に

こんにちは。
関西創価小学校 参事の三島千晃です。
 
最近、赤ちゃんを抱かせてもらう機会がありました。
にっこりと笑う赤ちゃんは、「いつまでも見ていたい!」と思ってしまいます。泣き顔だって、とても愛らしく可愛くてたまりません。小さな赤ちゃんも一生懸命に生きているのだと感じました。
今回は「泣く」というテーマについて掘り下げてみたいと思います。


◆三つの泣きパターン

NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんが「泣く」ことについて、興味深い話をされています。
子どもはどういうときに泣くのかを考えると、主に三つのパターンがあると言うのです。
その三つとは、「気質によるもの」「コミュニケーションとしての泣き」「親がプログラミングした泣き」だそうです。この三つを紹介していきましょう。
 
一つ目の「気質によるもの」とは、生まれつきの気質に関係するものです。繊細だったり、感情があふれやすかったりするお子さんって確かにいますよね。
 
二つ目の「コミュニケーションとしての泣き」とは、子どもが何かを伝えたかったり、何かを分かってほしかったりして泣くことです。これも身をもって実感されたことがあると思います。
 
三つ目は、「親がプログラミングした泣き」です。人は、子ども大人を問わず、何かの行動によって、快楽を得たとき、その快楽を得た方法で、次も快楽を得ようとします。親がプログラミングした泣きとは、親の反応によって、子どもの目的が達成されるようにプログラムされた泣きのことです。

◆それぞれに応じた関わりを

子育てで大切なのは、こうした子どもの「泣く」という行為に対して、三つの意味があるということを知ること(認識)です。そして、それぞれに応じた関わりをしていくことです。薬もその症状に合わせて調合したものを使わないと、適切な効果が得られないことと似ていますね。
 
一つ目や二つ目の泣きの場合、気をつけたいのは、まず受け止めてあげることです。子どもが泣いて嬉しいと思う親御さんはいません。ともすると早く泣きやませることに意識が向いてしまい、「いつまで泣いているの!」「泣かないの!」と厳しく言ってしまうことがあります。そうすると子どもは、泣くことが「悪いこと」、「間違ったこと」だと思ってしまいます。“悲しい時やつらい時は、泣いたっていい”との認識を忘れないでいたいものです。

三つの中で、一番気をつけたいのが、三つ目の「親がプログラミングした泣き」です。「学ぶ」とは、「まね」、「まねぶ」というところに語源があるとされます。この「プログラミングした泣き」とは、子どもの要求に親が応える行為を繰り返すことによって、「泣く」⇒「目的達成」というプロセスがプログラムされていくことを表します。
例えば何か欲しいとき、おねだりしただけでは手に入れることができなかったのが、泣いたら手に入ったとします。この「泣けば望みをかなえてもらえる」と経験した子どもは、次から無意識に泣いて要求を通そうとします。
一度、そのようにプログラミングされてしまうと、なかなか修正できません。目的を果たすために泣いていると感じたときは、“ダメなものはダメ”との態度を一貫して示し続けることが重要です。

◆「氵(さんずい)」に「立(たつ)」

でも、大人だって泣きたい時はありますよね。それが子どもならなおさらです。
関西創価小学校のある枚方は、漢字を日本に伝えたとされる「王仁博士」の墳墓があることから、「漢字のまち枚方」を全国に発信し、「漢字作文」に取り組んでいます。本校も長年、そのコンクールに参加しています。
かつて教え子が「泣」という字を選び、漢字作文を書いたことがありました。こんな内容です。

「私は泣き虫ですぐに泣いてしまいます。でも、私はこの『泣』という漢字が好きです。この字は、『氵(さんずい)』に『立(たつ)』と書きます。部首の『氵(さんずい)』は、水に関係し、涙を表します。悲しかったり、悔しかったりしたことがあったら、涙をいっぱい流して泣いたらいい。でも、そのあとは、しっかり自分の力で立ち上がっておいでと私にエールを送っているように思えるのです」

お子さんの素直な感情を大切にし、愛情をもって育ててこられたご家庭の教育を感じます。

◆「安心感」と「心のスキンシップ」

本来、泣くことは自然な感情表現であり、プログラミングされた手段としての泣き以外は、悪いことや間違ったことではありません。
子どもたちの自然な感情表現である、泣くことをできるだけ受け入れてあげてほしいと思います。
そうした素直に自己表現できる子が、本校のモットーにある「明るい子」だと思うのです。
 
使命ある / あの子 この児(こ)を / 忘れまじ / 来たる世紀の / 主役なりせば」との和歌は、創立者池田先生が未来の使者である、小さな子どもたちの成長に期待を寄せて詠まれたものです。
また、ある時は、「『信頼の世界』でつつみこんでこそ、子どもは、のびのびと、すこやかな、内なる可能性を伸ばしていける。母や、父や、まわりの人びとが愛情でつつんであげれば、子どもにとって、そこは、安心できる『信頼の世界』となるのです」と語られ、「安心感」と「心のスキンシップ」の大切さを教えてくださいました。
 
幼いうちに注がれた愛情は、その子の「生きる力」となって、一生を支えていきます。子育てには、苦労がつきものです。しかし、尊い苦労があるからこそ、親が人間として成長できるとも言えます。その意味から、子どもを‘’育てる”私たち大人は、子どもから”育てられている”のかも知れません。
 
昔、ドラマの主題歌に「涙は心の汗」というフレーズがありました。涙は、「悔し涙」、「感激の涙」、「嬉し涙」など、様々ありますが、心を浄化してくれる最高の薬でもあります。
「泣く」ことも、“素直な気持ち” を伝えられる素晴らしさだと、しみじみ思う昨今です。






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